医薬分業

医薬分業の歴史と日本の医薬分業

海外の医薬分業
海外で多く行われている処方箋調剤は、医師(歯科医師)と経済的な関係を持たない独立した立場の薬剤師の2人の専門家により、処方箋をクロスチェックし、処方された医薬品が適正に使用され、かつ薬物療法での有効性・安全性が向上するシステムをとっています。


日本の医薬分業
1974年(昭和49年)の診療報酬改定で、処方箋料が100円から500円に引き上げられたことを契機に、医療機関が院外処方箋の発行に動き出しました。

医薬分業は1974年に分業元年を迎えました。

日本の分業は金銭的インセンティブにより分業が推進されたため、諸外国のようなシステムが伴っていない、単に調剤するだけの門前薬局の乱立が問題となっています。


院外処方率 :70.2% 【2015年2月】


医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)日本薬剤師会
http://www.nichiyaku.or.jp/kokumin.php?p=11219




医薬分業の意義

薬局は、薬剤服用歴の記録やお薬手帳・情報提供文書などの情報が集約される施設です。

薬剤師は処方箋を確認し、疑問があれば処方した医師に疑義照会を行わなければなりません。

医師と薬剤師双方が専門性を生かしたチェック機能をもつことで、患者にとって安全で効果的な薬物療法が可能となります。

薬剤師が服薬指導を担当することで、医師はさらに診療に専念することができます。



医薬分業とは,地域において,医師の処方せんに基づき,薬の専門家である薬剤師が,処方内容を確認した上で,適正に管理されて品質が保証された医薬品を用い,正確に調製した薬剤を,適切な指導を加えて患者に交付することによって,医師と薬剤師が専門的な機能で協力し合い,よりよい医療を患者に提供することを言います。



かかりつけ薬局

かかりつけ薬局では、医薬品の情報を一元管理することができ、薬や食品の重複投与や相互作用による副作用などの健康被害を未然に防止することができます。

さらに、情報発信や相談を受ける場所となりえます。

また在宅患者を訪問して薬剤管理や指導を行うことで機能が発揮されます。

プライマリ・ケアが必要となったときも、要指導医薬品や一般用医薬品の使用に対する助言と情報提供を受けることができ、特に第一類医薬品を活用する際には薬剤師の果たす役割が大きいといえます。



医薬分業での薬局・薬剤師の役割と今後の課題

第五次医療法

薬剤師は医療の担い手とされ、調剤を行う薬局は「医療提供施設」と明文化されました。


地域医療計画[2008年(平成20年)]

薬剤師は、薬の専門家として医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品のリスクマネジャーとして期待されました。


地域において医療施設や医療従事者と共同で行う退院時共同指導、在宅患者緊急時等共同指導や、在宅患者における居宅療養管理指導および在宅患者緊急訪問薬剤管理指導は、他職種との連携において薬剤師の重要な役割となっています。


現状

医療保険制度の中で薬剤費の増大が問題となり、その解決策としての後発医薬品の使用促進は、薬局にそのインセンティブが与えられています。


薬剤師は欠かすことができない存在? 
→後発医薬品の活用 
医師に対する後発医薬品の薬学的な情報提供や患者の後発医薬品選択への助言など期待されています。
→医薬品の安全性や医療資源の節約


課題
  1. セルフメディケーションの推進
  2. ベストな薬物療法の提供
  3. ジェネリック医薬品の推進
  4. 「かかりつけ薬局」の推進
  5. 在宅医療での役割
  6. 薬剤師の倫理性の向上
など