療担に基づく医薬品の使用規制

保険診療や保険調剤で使用できる医薬品の範囲が規定されており、医薬品医療機器等法で承認され、薬価基準に収載されている医薬品が対象となります。

また、医薬分業の目的であるクロスチェックが適正に行われるために、保険医に対し、保険薬剤師から疑義照会があった場合には、適切に対応しなければならないことが規定されています。

療担規則第20条において「診療の具体的方針」として過剰な投薬や医療行為などを規制しています。


使用医薬品の規制


医師(歯科医師)は、療養の給付として用いる医薬品や歯科材料は厚生労働大臣の定める医薬品(医薬品医療機器等法で承認され、薬価基準に収載された医薬品)以外の薬物を患者に施用、処方することはできません。


例外として、医薬品医療機器等法に規定する治験で用いる医薬品・機械器具、評価療養・選定療養で用いられる実費負担の医薬品は用いることができます。


療担規則において使用できる範囲の医薬品・材料は、療養の給付の1つである薬剤の交付として用いられます。



診療の具体的方針 療担規則第20条《投薬》

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32F03601000015.html


投薬は、必要と認められる場合に行われなければなりません。
  • 1剤で足りる場合は1剤、必要があると認められるときに2剤以上投与。
  • 同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更。
  • 後発医薬品の使用を考慮し、患者が選択しやすいように努める。
  • 栄養、運動などの療養上の注意や指導で治療の効果が認められるときは、みだりに投薬しない。
  • 投薬量は、予見することができる必要期間とし、厚生労働大臣が定める内服薬および外用薬ごとに1回14日分、30日分または90日分を限度とする。
  • 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意および指導を行い、厚生労働大臣が定める注射薬に限り投与することができる。

処方箋の交付

使用期間は、交付の日を含めて4日以内とされています。


しかし、特殊の事情があるときはこの限りではありません。

特殊な事情とは里帰り出産、長期出張など使用期間を延長するに足る事情のことです。
旅行など個人的な都合では延長できません。


注射の規制
注射は、次に掲げる場合に行います。
  • 経口投与では胃腸障害を起こすおそれがあるとき、経口投与ができないとき、または経口投与では治療の効果を期待することができないとき。
  • 特に迅速な治療の効果を期待する必要があるとき。
  • その他注射によらなければ治療の効果を期待することが困難であるとき。
  • 注射を行う際は、後発医薬品の使用を考慮するよう努めなければならない。
  • 内服薬との併用は、併用により著しく治療の効果をあげることが明らかな場合または内服薬の投与だけでは治療の効果を期待することが困難である場合に限定する。
  • 混合注射は、合理的であると認められる場合に行う。
  • 輸血または電解質、血液代用剤の補液は、必要があると認められる場合に行う。


飲み薬での治療が可能な場合は、飲み薬が優先され、病院へ行って「とりあえず注射をうってくれ」というのは聞けない相談なのです。