診療(調剤)報酬の審査のしくみ


審査支払機関である社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会(国保連)を通じて保険者に請求する場合と、保険者に直接請求する場合とに大別されます。



審査支払機関を通じた請求

保険医療機関や保険薬局は、1ヵ月に行った診療(調剤)月末で集計して請求します。


診療(調剤)報酬明細書(レセプト)は被保険者(被扶養者)ごと医療機関ごとに作成します。


保険医療機関や保険薬局は、毎月10日を提出期限として、審査支払機関に電子レセプトをオンラインで提出または書面によるレセプトを送付または持参して提出します。



原審査(一次審査)

審査支払機関の事務共助による事務点検を経て、各都道府県に設置されている審査委員会と社会保険診療報酬支払基金本部や社団法人国民健康保険中央会に設置されている特別審査委員会が行います。


オンライン請求では、受付事務点検ASPにより記載漏れや事務的な誤りなどをチェックし、再度オンラインで訂正することができます。

http://www.ssk.or.jp/rezept/online/iryokikan/

書面審査では、事務点検により記載事項の確認が行われます。



審査委員会

審査委員は、医科・歯科・調剤において、それぞれ医師・歯科医師・薬剤師が、三者構成[診療担当者を代表する者、保険者を代表する者、学識経験者(公益代表)]で委嘱されて審査にあたります。


審査委員会と特別審査委員会は一般には公開されません。



審査の概要

資格審査として、基本的な被保険者としての資格要件が確認されます。


医科・歯科では請求された保険診療の傷病名における処置、検査、投薬などの医学的な適否が審査され、調剤では薬学的な調剤技術料の適否などが審査されます。


原則として8万点以上の高額レセプトについては、入念に審査することとなっています。


特別審査委員会の審査対象範囲
医科診療のレセプト合計点数が40万点以上のもの 
漢方製剤・調剤を含むレセプト件数が過半数を占める医療機関において入院外のレセプト投薬料点数が4000点以上のもの 
歯科診療のレセプト合計点数が20万点以上のもの

審査結果

審査の結果、不備があるものは保険医療機関や保険薬局に返戻されます。戻されたレセプトは、記載内容を整えたうえで再提出されます。


明らかに過剰な請求や不適切な請求項目は査定が行われて減点されます。


この結果は増減点連絡書として保険医療機関や保険薬局に報告されます。


審査が終わったレセプトは、審査委員会の決定を経て計数処理されて決定点や支払額が算出されます。



保険者への送付

審査支払機関で審査が終了したレセプトは、それぞれの保険者に送られて二次審査を受け、問題がなければ、保険者は審査支払機関を通じて診療(調剤)報酬を支払います


保険者がレセプトに疑義をもつ場合は、審査支払機関に対して再審査請求を行い、再度の審査により原審査どおりとされるか、審査返戻あるいは査定が行われます。



直接審査

調剤報酬明細書について、審査支払機関である社会保険診療報酬支払基金を介さず、健康保険組合の保険者が直接審査を行うことが認められています



オンライン請求の義務化

オンライン請求は、保険医療機関・保険薬局、審査支払機関、保険者間において、電子レセプトのデータをインターネット回線で結び、送受信する請求システムです。


2008年(平成20年)、400床以上の病院でオンライン請求が義務化されました。


その後、2015年(平成27年)4月分から、届出を行った一部の例外(手書きレセプト・医師・薬剤師全員65歳以上の高齢者である保険医療機関・保険薬局)を除いて、電子レセプトによる請求が義務づけられました。