医薬品の副作用・感染症情報収集システム


副作用・感染症報告制度とは

・副作用・感染症報告は製薬企業が中心となって行いますが、国や医療関係者も情報収集を行っています
・これらの各種の情報を国に集積し、評価した後、必要なものを情報提供する体制が構築されています。


副作用・感染症報告制度は、以下の制度から成り立っています。


  1. 企業報告制度
  2. 生物由来製品の感染症定期報告制度
  3. 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度
  4. WHO国際医薬品モニタリング制度


企業報告制度とは 


・製薬企業は、その製造販売する医薬品によると疑われる重篤な副作用・感染症を知ったときには、15日以内または30日以内に機構(PMDA)に報告しなければなりません。

・製薬企業には、副作用・感染症報告義務が課されており、報告を怠った場合、営業停止などの行政処分の対象となることがあります。



副作用の種類と報告期限 【15日報告】

種類内容
副作用国内の未知・死亡症例要FAX    
外国の未知・死亡症例
国内の既知・死亡症例
国内外の未知・重篤症例
国内の既知・重篤症例のうち、
承認後2年以内の新有効成分含有医薬品によるもの、
および市販直後調査により得られたもの等
感染症国内の未知感染症例要FAX    
国内外の既知死亡・重篤症例要FAX    
外国での
新たな措置    
外国における販売中止、回収等の措置要FAX    



副作用の種類と報告期限 【30日報告】


種類内容
副作用
  • 国内の既知・重篤症例のうち、15日報告対象以外の副作用症例
研究報告    
  • 副作用・感染症により重大な疾病、
  • 障害もしくは死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
  • 副作用の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
  • 承認された効能・効果を有しないことを示す研究報告


副作用の種類と報告期限 【未知・非重篤副作用定期報告】


未知・非重篤副作用定期報告
安全性定期報告
対象医薬品
承認の際に厚生労働大臣が指定した日から2年間は6ヵ月ごと、
それ以降は1年ごと
その他の医薬品    承認日等から1年ごと



感染症定期報告制度とは


契機
血液製剤のウイルス感染によるエイズや肝炎
ヒト乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
経緯
2002年薬事法改正により義務付け
2003年(平成15年)7月より実施
報告義務    
医薬品医療機器等法で義務づけ
目的
人や動物由来のものを原料または材料として製造される生物由来製品の感染リスクについて特別の注意を払う必要があるため、
原料または材料の採取から製造販売後の段階に至る安全対策の強化を図ること
対象
生物由来製品の製造販売業者
報告頻度    
6ヶ月
報告先
機構(PMDA)
      報告事項    
  • 当該製品の原材料、原料もしくは材料、これらに係る人その他の生物、または当該製品について報告された人に感染すると認められる疾病についての研究報告
  • 外国で使用されている当該製品と同一性を有する製品によると思われる感染症
  • 当該調査期間中に報告した感染症症例報告も添付し、あわせて安全性に関する見解を述べる

感染症症例報告と感染症定期報告制度のちがい




     企業報告制度
(感染症症例報告)
感染症定期報告制度
契機血液製剤のウイルス感染血液製剤のウイルス感染
CJD事件
導入1997年(平成9年)
副作用報告に加えて義務
付け
2002年(平成14年)薬事法改正
2003年(平成15年)7月から施行
報告
  • 製薬企業は、
    その製造販売する医薬品によると
    疑われる感染症例を
    15日以内に報告しなければならない
  • 報告先は機構

  • 生物由来製品の製造販売業者が
    6ヵ月ごとに報告する
  • 対象は生物由来製品
  • 報告先は機構


医薬品・医療機器等安全性情報報告制度とは


【経緯】
従来、医療機関報告は、厚生労働省から医療機関・薬局への協力要請に基づいてきたが、2003年(平成15年)7月から医薬品医療機器等法に基づく報告制度となった

【報告対象施設】
すべての医療機関および薬局

【報告者】
病院・診療所の開設者、薬局開設者、医師、歯科医師、薬剤師等の医療関係者

【報告】
「保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するため必要があると認めるとき」に報告を行う

【報告先】
機構

【報告事項】
企業報告制度によるものと同じ




WHO国際医薬品モニタリング制度


・サリドマイド事件を契機に、世界保健機関(WHO)では医薬品の安全性を確保する目的で、副作用に関する情報を組織的に集めるために、WHO加盟各国が早急に国内モニター制度を設けるなど、副作用情報の収集・伝達の決議がなされた

・1968年(昭和43年)にWHO国際医薬品モニタリング制度の活動が開始された

・わが国も1972年(昭和47年)から本制度に参加し、国内副作用症例をWHOに報告するとともに、情報交換に努めて、国内での医薬品の安全対策に活用している